大瀬崎より 9月21日〜9月25日の大瀬崎観察日記

10月1日 天気:晴れ  風向:北  風力:4〜6


台風通過で北風の強い朝を迎える。大瀬山周辺にハチクマが集まるパターンだ。
6時30分過ぎから予想どおり、雨で足止めされていたハチクマが、天候の回復を待ちかねたように
次々と飛来が始まった。暗くて動きが早く写真は難しいし、私一人なのでカウントを最優先させる。
強風にためらいながらも、数十羽単位で次々と西海上に出ていった。

午後の飛来はまばらで、数羽がパラパラとやってくる程度、群れを見ることはなかった。玉之浦湾に
セグロカモメが2羽入った。この姿を見ると渡りも終盤である。(井上)


大瀬崎のハヤブサ



強風の中を引き返してくるハチクマ♂



ハヤブサにモビングされた後・飛翔するハチクマ

9月30日 天気:雨  風向:北  風力:2


朝から雨で霧も発生し視界が悪い。ハチクマは姿をみせない。
動きがないので9時に調査を終了した。渡りは台風が通過して、天候が回復するまで休止のようだ。
昨日の夕方、荒川温泉に移動途中に電柱にとまっているチゴハヤブサ3羽とチョウゲンボウ1羽をみか
けた。休んでいるのかと思ったら、目はしっかりと地上を見張っている。雨でカメラを出すことはほと
んど無いのだが、車の中から撮影させてもらった。

渡りとは無関係だが、大瀬山の東にある玉之浦湾は、国際避難港に指定されている。昨日から、台風を
避けて多くの中国漁船が入港してきた。10年ほど前は、浮かんでいるのが不思議なくらい、赤錆びて
朽ちた漁船が多かったが、近年はだいぶん綺麗になった。停泊中に喧嘩、殺人・出港時に養殖いけすの
網切断などのトラブルが多いらしく、海上保安庁が海上と陸からしっかり監視していた。(井上)


雨のなか、電柱にとまるチゴハヤブサ



玉之浦湾に避難している中国漁船

9月29日 天気:曇りのち雨  風向:東のち北  風力:2


曇り空で薄暗い朝を迎えた。西は雨雲が低く立ち込め、一部には雨のカーテンが見える。
ハチクマの群れ70羽ほどが大瀬山を舞うが、海上には出ずに島山島方向に引き返した。
間もなく雨が降り出し、霧で視界も悪くなる。雨の中を渡る可能性もあるので15時まで観察を続けた
が、海上に出たハチクマはいなかった(井上)


サギ類の渡り・北西の強風が吹いた9月26日、高度1,000m付近を南西方向に渡って行った。
撮影:石井鶴三

9月28日 天気:晴れ  風向:北東  風力:2


東の朝焼けが美しい朝を迎える。山頂は16度で少し肌寒い。
西方海上の視界が良く、適度な風があるため、大瀬山上空へ大群が飛来することはまず無いが、北側上
空に退屈しない程度の群れができた。朝日を浴びて金色に輝くハチクマもまた美しい。

今朝は大群が通過することはなく、10羽から30羽程度の渡りが2時間あまりも続いた。大瀬崎では
数が出ないノスリ1羽を今期に初認、サシバも2羽が西方向の海上へ出たが、渡る方向が違うのでのち
に引き返すと思われた。午後の渡りはほとんど無いので、渡り調査を10時で終了し、昨夜に出口さん
から情報をもらったアカアシチョウゲンボウを探しに移動した。

本日の帰宅組3名と共に探したが、午前中には見つからず皆さん無念の離島となった。夕方に再度探す
と、情報をもらった場所でチゴハヤブサ3羽と共に確認できた。もうしばらく滞在してくれて、青空の
下で撮影できると嬉しいなぁ〜。(井上)

長崎市の奥村英二ご夫妻が10時以降に観察を継続され、ハチクマの飛来・350羽を確認されました。
記録の転載許可をいただきましたので、昨日の飛来個体数を(24 → 350)に訂正します。


二本楠に飛来したアカアシチョウゲンボウ・幼鳥



アカアシチョウゲンボウ・幼鳥



朝日を浴びて舞うハチクマ



大瀬崎では飛来数の少ないサシバ

9月27日 天気:晴れ  風向:北東  風力:2〜3


北側海上の遠くを点々と渡るハチクマをカウントする状態で、大瀬山に接近した群れはわずかでした。
午後の飛来も少なく、撮影する鳥影もまばらな状態・ピークを過ぎて大瀬山は静かな状態が続きそう
です。(井上)


雲の下を舞うハチクマ♂



翼全開のアカハラダカ



海を背景に飛ぶサンショウクイ



空中でトンボを食うチゴハヤブサ



大瀬崎を渡るハチクマ・幼鳥



チゴハヤブサの飛翔

9月26日 天気:曇り  風向:北西のち北北西  風力:5〜7


今朝は曇りで視界は良好だが風力は5〜7、北西の風が常時15m/秒以上もの強風が吹き続ける。
北西風の時は渡り個体が多い傾向があり、羽ばたかずに高空を一気に渡るパターンが多い。
早速、6時16分には最初の群れが飛来して大瀬山上空を旋回する。その後も続々と飛来が続き、すぐ
に250羽ほどの群れになった。残念ながら飛翔高度が高く観察には・・・? 青空に黒ゴマをまき散
らしたような光景だ。個々は小さな旋回を繰り返しながら、群れて南西方向の海上に流れていく。

すぐに次の群れが飛来して旋回し、帯状の渡りとなる光景が1時間30分ほど続いた。これで終わりか
と思ったら、30分ほどして今度は北側海上にすざまじい群れが通過していくのが見えた。個体の見か
けはケシ粒よりもまだ小さい。群れの規模は606羽が最大で370羽、260羽などと大群であった。
続いて大瀬山上空にも大群が飛来・・! 
そのような訳で、本日の渡り集計を終えてみれば4,466羽ものハチクマが渡っていた。

大瀬崎の記録/日としては過去最大である。結果的に、今日の風向と風速は渡りの条件として良かったと
考えられ、渡りと気象条件の関係を考えるうえで良いデータとなった。 午後は飛来が多くなかったの
で調査を早く終えて「とまり」のハチクマを観察に移動した。ヒノキや杉の頂部、照葉樹の横枝などに
とまっているハチクマが多かった。カラスバトの出現もありニコニコであった。(井上)


大瀬山上空・ハチクマの群れ



帯状の渡り(天の川)の一部



斜面の木にとまるハチクマ♂



スギ頂部にとまるハチクマ幼鳥?



福江島にはたくさん生息しているカラスバトの飛翔